HEADWAY FESTIVAL 2005: 4/2〜4/3
at P60, Amstelveen (Netherland)
a live report & all photos taken by Pilgrim Tetsu

[Headway Festivalオフィシャルページ]
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Report Index:
[The Saturnine][Splinter][Transmission][Wolfgang Zenk][Guapo][ShadowKeep][Enchant]

[Synergy Protocol][Symmetry][Junk Farm][Joost van den Broek][Prymary][Last Crack][Fates Warning]
皆様、いつもお世話になっております。無事オランダから一昨日戻ってまいりました。今回の滞在は5日間ほどで、主に4/1〜4/5まで滞在して、4/6のオランダ発PM14:15の飛行機で4/7に帰国いたしました。昨年初めて参加したHeadway Festivalも、今年で通産第3回目を迎えました。前回は、右も左も分からない状態でした。土地勘も全然なく、友達らしい友達も居なかったので、フェスティバルが始まるまでは、心細かったのが正直なところでした。しかし、今回は前回のHeadwayで知り合いになったり友人になった人達との再会を心待ちにしてましたし、新しい友人との出会いや邂逅などグレイトな体験を味わうことができました。個人的な今年のHeadway Festivalのハイライトは、FATES WARNING, ENCHANT, PRYMARY, SYMMETRY, TRANSMISSIONでした。どのバンドもそれぞれが面白いものを見せてくれていたと思います。新人部門では、シンフォ・ハード路線のSPLINTERとプログレメタル系の女性ボーカルを含むSYNERGY PROTOCOLやTHE SATURNINE辺りも興味深かったです。変わり種では、少しFreak KitchenやDeath In Taxesなどを彷彿させる面白系バンドのJUNK FARMや、重鎮ヘヴィーロックバンドのLAST CRACKもいぶし銀のライブパフォーマンスを繰り広げておりました。あとGUAPOというバンドは、今回のラインナップでは最もプログレッシヴロックとサイケデリックなスピリットを感じさせる濃密な演奏で、MagmaやCuneiform系などを彷彿させるダークな勢いもありました。

【HEADWAY FESTIVAL第1日目:04/02/2005】


The Saturnine:

初日のトップバッターは、地元のProgMetalバンドがオープニングを飾りました。ProgMetalといっても彼らの場合は、Dream TheaterタイプやFates Warningタイプと若干異なる部分がありました。のりやすい変拍子を絡めつつも、分かりやすく、のりやすいグルーブを武器にしていました。少しムーディーでダークな風味もありましたが、パワフルな演奏とエッジの立った楽曲が魅力的でした。このバンドを結成した中心人物の一人であり、Headway Festivalのステージマネージャーだった元SUN CAGEDのDennis Leeflangは既に脱退しておりました。けれども、彼の後任ドラマーもきっちりと仕事をこなし、大変まとまったアンサンブルで個人的な印象は良かったです。ミックスのせいか、少しギターの音が小さかったものの、私的にはよい新人バンドだと思いました。メランコリックな質感を持ったHeavy Rock/Metalタイプのバンドでありましたね。King's X, Aztec Jade, Tiles, Reading Zeroなどに通じる要素も、少し含まれているという印象でした。今後、どんどんいいバンドになっていくことでしょう。地元のオランダの人達から、暖かい声援を受けておりましたね。
[公式ウェブサイト: http://www.thesaturnine.com/]



Splinter:

やはり地元出身のバンドですが、こちらはうって変わりシンフォニック・ハードな演奏を武器にしている若手グループ。とにかく元気ハツラツとしていて、フレッシュなステージングをこなしておりました。全体的には、非常にSPOCK'S BEARDを彷彿とさせる演奏でありました。見た目は凄く若い人達で、中にはティーン・エイジャーなのかな?という人もいましたが、演奏力はとても高く感銘を受けました。人によってはA.C.T.的な部分も感じると思います。ミックスのせいか、アンサンブルにとてもエッジがあって激しいインストセクションやインタープレーなどは、非常にプログレハード路線で大変素晴らしかったです。Dream TheaterやSpock's Beardのファンをも、振り向かせる力量を持った素晴らしいバンドだと思います。なぜかキーボーディストの人は、裸足で演奏していましたが、とても楽しそうにキーボードを弾いている様子が印象に残りました。どのメンバーも非常にいい腕前を持っておりましたね。今後のアルバムリリースにも期待をかけたいです。
[公式ウェブサイト: http://www.splinterprog.com/]



Transmission:

ドイツ出身の正統派テクニカルProgMetalバンドです。このバンドもいよいよフルレングスのアルバムがリリースされるというバンドだと思いますが、新人とはとても思えない恐るべき完成度と技巧性を誇り、私はぶっ飛びました。見ている間の印象は、Sieges Even + Dream Theater + Chain + Frameshiftという印象です。とにかく勢いとテンションが凄くあって良質です。メンバーには、Chainのキーボーディストとドラマーを含んでおりますが、演奏・楽曲面において水準がとても高く私は、とても楽しみました。シンガーの力量も、とても素晴らしく歌唱力もよい出来でありました。Chainの楽曲も、Reconstructそして.exeからも演奏されましたが、凄く良かったです。もしFrameshiftやChainがライブで演奏したら、こんなにも凄いのかと思わせられるライブでした。人によっては、ボーカリストが存在しているLiquid Tension Experimentと形容したくなるサウンドかもしれません。私の中では今年のHeadway Festivalのハイライトの一つです。非常にスリリングな構成の楽曲とテンションの高い変拍子がビシバシ炸裂する緻密でパワフルなProg Metalサウンドが好きな人には、お薦めです。秋にはアルバムをリリース予定で、早くも楽しみです。いやー堪能しました。まだまだ世界には埋もれているダイヤモンドの原石みたいな、凄いProg Metalバンドがたくさん存在しているのでしょうね。彼らのような凄い連中のライブが観れて良かったです。
[公式ウェブサイト: http://www.transmission-online.de/]



Dinner Break(夕食・休憩): Wolfgang Zenk Guitar Clinic

夕食タイム・クリニックの時間が中間に入っておりまして、この時間はなんと元SIEGES EVEN/現7for4で活躍する超スーパーギタープレーヤーのWolfgang Zenk氏のクリニック演奏を観ました。主に7for4からの楽曲が演奏されて、堪能いたしました。ギターリストにとっては口があんぐりの技巧オンパレードでとても興味深かったです。クリニックの前後で、Wolfgang Zenk氏と少しお話をすることができましたし、今回ちょっとしたヘルパー・ローディーとしてやはり現7for4のベーシストであり、元SerumのMarkus Grutzner氏も来ておりました。Wolfgang Zenk氏は、とってもフレンドリーで優しい面持ちの方で、大変驚きました。ドイツではギター講師でもあり、ドイツ版G.I.T.のようなプロミュージシャン養成専門学校の総合責任者の一人でもあられます(学校の名前がうろ覚えで申し訳ないのですが、GMA?とか・・・あ、MGIでした。確か、そんな名前でした)。
[7for4公式ウェブサイト: http://www.7for4.de/]
[Munchner Gitarren Institut公式ウェブサイト: http://www.m-g-i.de/]
その後、地元のProgMetalファンやスイスから来ていたProgMetalファンの人達、それからPRYMARYのメンバー達ともおしゃべりをしたり夕食のときを持ちました。しばらく夕食をしたり、おしゃべりをして過ごしておりました。インターネットなどをしている間に、いつのまにか、自分達の隣のテーブル席にぞろぞろとENCHANTのメンバーが集まって会食してました。ずっと様子を見ていたわけではありませんが、Enchantのメンバーの何人かはリラックスしてくつろいでおりました。ベーシストのEd Plattは、ネットでEnchantのサイトに書き込みチェックしてましたね。あとボーカリストのTed Leonardは、ビリヤードを楽しんでいたりしてました。他のメンバーはフランスのプログレ誌のインタヴューを受けていたように記憶しております。僕はPRYMARYのメンバー達や関係者の人達と過ごす時間が多かったですね。結局ENCHANTのメンバーとは最後まで会話をすることはできなかったのが残念でした。



Guapo:

夕食やお喋りをずっとしていたせいか、Guapoのライブは後半少ししか見ることができませんでした。しかし、この英国出身のバンドは今回のHeadwayのラインナップの中では、多少異質でありました。ステージ上のライティングはかなりダーク目にしておりました。左手にキーボーディスト、真中にドラム、そして右手にベーシストという配置で演奏を繰り広げていました。音楽的には、ダークで濃密且つヘヴィーなプログレを演奏していました。ProgMetal的サウンドとは全然違いますが、60'sや70'sのプログレ的スピリッツが充満するステージングで、ヘヴィでダークなプログレが好きな人には楽しめると思います。とにかく異様な雰囲気を醸し出していて、個人的にはフランスのMagmaやNebelnestみたいなZehul系に通じる感じがしました。観る人によっては、EL&Pや日本のBoredamsなどを連想する方もいらっしゃるかもしれません。プログレにプラス、ある意味メタルとは質感が異なるパンキッシュなエナジーを取り込んだ、トリオ編成とは思えないハードで濃密な演奏でした。観ていたオーディエンスの数は少なめだったものの、その人達からの反応は上々でした。ステージ上のGuapo本人達は、えらい素っ気がないというか何を考えている人達なのだろうか?と見ていた人達は不思議に感じたことでしょう。しかし、演奏終了後、ステージの袖でキーボーディストは深くおじぎしていました。
ライブ後に、暫し一緒になってステージでの様子を観ていたPrymaryのJames Sherwood君に「Guapoどうだった?」と聞いてみました。すると「あいつら、かなりキテルけど、凄い音楽だ!」と言う感じで、楽しんでいたようです。
[公式ウェブサイト: http://www.guapo.co.uk/]



ShadowKeep:

同じく英国出身のバンドですが、こちらのバンドは正統派パワーメタルという感じでした。残念ながら、このバンドが出ていた時間もいろんな人達とカフェテリアや外で話しをしたり、飲んだりしていたのであまりステージングを見ていないというのが正直なところです。最後の2曲ほどはかろうじて見れました。1枚だけ彼らのアルバムを持っているのですが、たまたま僕が知っている曲が最後にしめくくっていました。音楽的には初期のQueensyrycheやCrimson Gloryを意識したタイプのツインリードギターバンドです。ボーカリストはジェフテイト的なハイトーンを武器にしておりますし、リードギターリストの一人は、女性の方でした。気のせいか、片割れのギターリストさんは、別にソックリという訳ではないけども、アンガールズの右側にいる人をちょっと彷彿させるかも(笑)。
[公式ウェブサイト: http://www.shadowkeepmetal.com/]



Enchant:


第1日目のトリを飾るのは、アメリカはオークランドを拠点に活動するInsideOutに所属するENCHANTです。いまか、いまかと楽しみに待っていると暗転し、なんとイントロダクションはMae Daeで私の期待がどんどん膨らんでいきました。Mae Daeの後、新曲Sinking Sandが演奏されました。いやーカッコイイ!、音がすこぶる綺麗でエレガントしかもハード!!。その後どんどんA Blueprint of the Worldの名曲が披露されていきます。セットリストは、とてもバランスよくて、どのアルバムからも演奏されました。意外だったのは、初期の曲の中には、TedとDougが歌メロをKANSASのようにデュエット形式で、お互いに受け持ったり、かけあう場面も見られました(例えばThe ThristやOasis)。またTedがギターを弾く場面もかなり多く、リフやコードだけでなくて、かなり流麗なギターもプレーし、ある意味ツインリードみたいなことをやったり、ハーモニーをプレーするなど見ていて楽しい場面もありました。Ted本人は、あまり俺はギターは上手ではないけどと言っていましたが、たいした腕前でありました。ビギナーには弾きにくいテンションコードを含んだ弾き語り調のものなど、シンガーとしてだけでなくギターリストとしても確かな技量を持っております。再び全体的な感想に戻りたいと思います。基本的には、Enchantファンにはお馴染みの代表曲や人気曲がプレーされました。セットの流れが特にいいなーと思いました。特にBlueprintやTug of Warからの楽曲が目立ちました。親しみやすくのりやすい楽曲が中心のセット構成で、私は最初から最後まで楽しみました。ステージングも大変堂々としたもので、バンドの核となるTed Leonard, Ed Platt, Doug A. Ottの3人の動きがやはり目立ちます。ニューメンバーのBill JenkinsとSean Flanneganもいいプレーで好サポートです。やはりA Blueprint of The Worldからの楽曲が一番反応が強烈だったですが、個人的にはBelow Zero, Blink of an Eyeなどのヘヴィな楽曲もアピール大でした。とにかくメロディアスでエモーショナルな楽曲のオンパレードに感無量でした。またインスト楽曲も2曲演奏され、この辺りで彼ららしいプログレサウンドと緻密な演奏を味わい楽しみました。Tug of Warの曲も随所で目立ちましたが、Comatoseを始めとして光っておりました。ラストは、名曲Oasisで会場はロックしてました。アンコールにも応えて、メドレー形式で演奏されて最後は私の大好きなBreakアルバムからThe Crossが演奏されました。どんなステージングになるか、まったく予想ができませんでしたが、思った以上にハードに攻めるところが素晴らしかったです。歌を聞かせるところでは、Tedのエモーショナルで柔和な声が強調されておりました。演奏面や音のバランスも最高に素晴らしく、特にBlueprintの楽曲では美しくエレガントで魅惑度が満点でありました。間違いなく第1日目のヘッドライナーにふさわしい、熟練のパフォーマンスに大満足で会場を後にしました。
[公式ウェブサイト: http://www.theoasis.cc/]

Enchant Live Setlist:
Sinking Sand
The Thirst
Paint The Picture
At Death's Door
Prognosis
Monday
Pure
Nighttime Sky
Under Fire
Acquaintance
Progtology
Comatose
Below Zero
Oasis

アンコール:
East Of Eden
Missing
Interact
My Gavel Hand
(アンコールは全てメドレー形式)

【HEADWAY FESTIVAL第2日目:04/03/2005】

Synergy Protocol:

地元オランダの女性ボーカルを含むProg Metalバンド。去年のXenobiaのヴァイオリニストも美人でしたが、この方も素敵な雰囲気を漂わせていました。・・・あ、肝心の話から脱線しておりますね・・・。えーっと、このバンドは昨年観たKARMAと同じでProgPower的スタイルで、分かりやすい変拍子を取り込みながらハード且つタイトに演奏するバンドで私は着に入りました。キーボーディストを含んでおり、やはりKarmaと同様でいいものを持っています。未契約のバンドでも本当に素晴らしい演奏と音楽性を持ったバンドがたくさん活躍しているのだろうなーと思わせられました。演奏力はとても良かったですし、フィーメール系シンガーを含んだProg Metalは、やはり華があっていいですね。アルバムが出たらチェックしたいですね。ソリッドで堅実な姿勢を感じつつも、分かりやすい音楽性が魅力だと思いました。ConceptionやSanvoisen、Charisma辺りが好きな人は楽しめるのではないかと思います。キーボーディストもいい腕前をしていると思いました。というか、今年参加しているバンドでキーボーディストを擁しているグループは、どのバンドも鍵盤奏者が上手かったというのが個人的な印象です。複雑緻密な演奏を押し出すタイプのバンドではないですが、随所にコンプレックスなパートを含みつつも、ベースプレーヤーの演奏でグイグイとひっぱりつつ、割とストレートな方向性で楽しませる存在という印象です。気に入った新人バンドです。
[公式ウェブサイト: http://www.synergy-protocol.nl/theband.shtml]



Symmetry:

個人的な今年のハイライトの一つ。オランダの中堅テクニカルProg Metalバンドでありまして、彼らはツインギターを武器にしたスリリングな演奏を得意としております。主にニューアルバム「A Soul's Roadmap」からの曲目が中心で、コンセプトに沿ったダークかつハードな演奏を楽しむことができました。アルバムで聞く以上にステージングや演奏が複雑緻密で、演奏陣の技術はハイレベルに達しております。とにかくステージ上での彼らの演奏が非常にウマイ!、そして音のバランスがすこぶる素晴らしい!!、インプレッシヴでした。正統派Prog Metalからテクニカル指向のProg Metalのファンからの評判が大変高かったと思います。残念ながら、片割れギターリストが脱退してしまいましたが、助っ人にSUN CAGEDのMarcel Coenenが参加。昨年Marcel Coenenには大変お世話になりましたが、ステージではとても楽しそうにニコニコ笑顔や表情を変えながら、恐ろしく難解かつトリッキーでフラッシーなギター演奏を連発。もの凄いハイパーな超絶技巧テクニックで、ぶっとびました。Steve Vai, Joe Satriani, Ron Thal, John Petrucci, Mattian IA Eklundが好きな人は彼の演奏にくぎ付けになっているのではないでしょうか。以前から巧い人だと思っていましたが、恐るべきプレーヤーです。今回会うのをとても楽しみにしていたもう一人のギターリストFrank Schiphorstも非常にテクニカルで高い技巧性を誇っておりベリーグッド。ステージ上でMarcelに引けをとらない流麗なギター奏法を披露。スィープ奏法、ストリングスキッピング、またタッピングなどなどコンテンポラリーな技巧派ギターリストに共通する技がびしばしと出て楽しませてくれました。ベーシストやドラマーも、高い技巧性を持っており、ド迫力の底辺サウンドを築いておりました。しかし決して演奏面だけを強調しているわけではなく、楽曲構成もとても幅の広いものを感じさせており、音のバランスもきちんととられており、私は心底楽しみました。日本のVIGILANTEやカナダのANNIHILATOR, アメリカのVICIOUS RUMORS辺りが好きな人は、彼らのステージングを満足していただけると思います。いやー期待値を超えての強烈な演奏力とステージング運びに、ぶっとびました。そしてシンガーによる歌の存在感と安定度の高さにも注目ですね。個人的にはシンガーの方のMCがオランダ語で全く分からなかったものの、なぜかいい人そうなオーラが出ておりました。ときおり、コミカルというかユーモアでありまして、なぜかバラエティ番組にもよく出ている勝俣州和を思わせるところがあって面白かったです(笑)。結論は、非常に素晴らしく、これぞPROG METALというハイレベルなパフォーマンスに感無量です。繰り返しになりますが、日本のVIGILANTEのライブが好きな人には、特にお薦めです。・・・ライブ後にFrankとベーシストの人に会うことができました。メンバーそれぞれ、人柄がとてもよさそうな感じでした。特にFrankは、フレンドリーで話しやすい人でよかった。
[公式ウェブサイト: http://surf.to/symmetry]



Junk Farm:

ドイツ出身のミクスチャー系フュージョン・ロック〜時にはジャズロック的なサウンドも顔を出したりと、色んな引出しを持ったバンドという印象が強く残りました。サウンドや方向性などからは、スウェーデンのFREAK KITCHENやブラジルのDeath In Taxesに通じるものがあると思います。このバンドには、ベーシストがいませんがキーボーディストがシンセキーボードで音を代用しておりました。けれども、どこかにベーシストを仕込んでいるのはないか?と思わせるほど、妙に生々しいベースの音づくりでした。ハモンドオルガン的な音づくりにも気を遣っていたのか、レズリーぽいスピーカー・アンプ?でドップラー効果によってひきだされる、所謂ロック・オルガンらしい音で楽しませてくれました。ドラマーも技を持っている人という印象でしたし、ギターリスト兼リードシンガーの人も強靭なリズム感を持っており、バッキング・リードともに並大抵ではない雰囲気を出していました。後で知ったのですが、ドイツ語でMCを喋りつづけていると思っていたらなんとオランダ語でずっとMCを喋っており、しかもそれがオランダ語が全く分からない他の2人のメンバーをからかった内容でありました(笑)。本人達があずかり知らないところで、地元っ子には受けておりました。そういうところあってか、歌詞の内容も結構とぼけたことを歌っていたり、MCもユーモアに富んでいたせいか、地元の人達の間では非常に受けが良かったようです。歌や喋りの内容が分からなかったものの、音楽的には高いものを持っているという印象です。このバンドって新人なの?、とても新人とは思えません・・・というか新人ではないでしょう。えらいしっかりとした演奏力を持っているので、ベテランが新しく組んだバンドなのかもしれません。
[公式ウェブサイト: http://www.junkfarm.de/]



Dinner Break: Joost van den Broek Keyboard Clinic

夕食の時間にさしかかっておりましたが、Sun Caged/After Foreverのキーボード奏者Joost van den Broekのキーボードクリニックが展開されていました。非常に卓越した演奏力と感性の持ち主で、とても素晴らしいミュージシャンです。また昨年と同様、少し話しをしましたが、素晴らしい性格を持った好青年という印象です。デモンストレーションで演奏された曲目は、主にStar Oneや未発表の自身のソロ作品、そしてMike Oldfieldの曲を元にインプロビゼーションのソロなどです。ネオプログレ〜モダンProg Metal、そしてファンク・ロック調のものから、シンセサイザーの可能性を追及したかのようなテクノ・トランス風味がある、キャッチーなキーボード演奏を堪能しました。ショルダーキーボードを使ったアクロバティックな演奏力が観衆の興味を大きく弾いておりました。デモンストレーションと説明のあと、たくさんの人がJoostの周りに集まって談話をしていましたし、面倒ぐさがらずにフレンドリーに対応している様子が紳士的でありました。私にも丁寧に接してくれて、プレーヤーとして凄い人でありますが、人あたりのとてもいい青年でありました。
[After Forever公式ウェブサイト: http://www.afterforever.com/]
[Sun Caged公式ウェブサイト: http://www.suncaged.com/]



Prymary:

アメリカは、カリフォルニア州を拠点に活動をしているテクニカル且つメロディアスでドラマティックなProg Metalバンド。色々とステージに立つまでに機材関係のトラブルや、運搬事故でキーボードが使い物にならなくなってしまった・・・などバンド側ではかなり大変だったことを耳にしていたので、個人的にはかなり心配しておりました。しかし、ライブが始まってみれば、それらが単なる杞憂にしか過ぎなかった、圧巻の超絶ライブになりました。虐待問題を扱ったダークでメッセージ性の高いニューアルバム「What Little Girls Are For」を中心にしたセットリストでありました。とにかく怒涛の迫力とテンションの高さに驚かされました。また1stアルバムからも数曲ほど演奏されました。特に2ndアルバムからの楽曲は、彼らが確固たる自信を持っている様子が窺える、威風堂々とした力強さを感じさせてくれました。ヘヴィー且つテクニカルな技巧を駆使したアンサンブルがポイントであります。また同時にエモーショナルでメローな側面も大事にしており、彼らの魅力が満載の迫力満点の演奏に度肝を抜きました。僕にとっては、今回参加したバンドの中でもお気に入りのバンドです。とにかく最初から最後まで、全般的にトリッキーでスリリングな演奏が披露されました。難解なアンサンブルの中で、ビシバシと出てくるインタープレーや、頻繁に登場し炸裂する変拍子、テクニカルなインストプレーなどなど、これぞProg Metalと呼ぶにふさわしい技の応酬を楽しみました。今度のアルバムは、凄いものになることをヒシヒシと感じさせてくれます。各楽器陣の演奏は、どれも素晴らしかったですし、シンガーのMike DiSarroによる起伏のある歌も手ごたえがありました。Dream TheaterやDali's Dilemma, Dreamscape, Andromeda, Vanden Plas, そして日本のFreewill, Symphonia, Lightjabなどの音楽性を好む人にとっては、Prymaryは、とても楽しんでいただけるスタイルを持ったバンドでありますので、お薦めしたいです。
[公式ウェブサイト: http://www.prymary.com/]



Last Crack:

アメリカ出身のヘヴィロックバンドで、独特の雰囲気と強烈なカリスマ性を持っているグループという印象が強く残りました。他のプログレメタルバンドとは、異なるアトモスフィアを持っておりオランダのオーディエンスから大喝采を浴びておりました。僕個人は、前半はあまりピンと来なかったのですが、中盤にさしかかる辺りでグイグイとステージングに引き込まれました。とにかく、全てを飲み込んでしまう迫力とテンションの高さがありました。演奏一つ一つに無駄がなく、このバンドもベテランの領域に位置している凄い連中だなー、と確信させるものがありました。最終的には、魅了されておりました。この手の音楽は、私の専門外ですが、LAST CRACKはオリジナリティーを強く持っていますし、リードシンガーBuddoは観衆をひきつける術を持ったカリスマ的なミュージシャンでした。また2人のギターリストとベーシストを格としたグルーブの凄さは筆舌に尽くしがたいものがあり、カッコよかったです。ある意味Mind Funkや最近のQueensrycheみたいな部分が好きな人には、彼らから何か強烈なものを感じ取るかたもいらっしゃるのではないでしょうか。アンダーグラウンドの大物バンドとしての風格を、強く感じさせるライブでした。
[公式ウェブサイト: http://www.lastcrack.com/]



Fates Warning:

ついに最後を締めくくるに相応しい大物が登場する時間になってきました。前日も話に出ておりましたが、この日のために彼らは完璧なまでに入念なリハーサルと準備をしており、プロフェッショナルなバンドであると耳にしておりました。またここ数年というものは、オランダで予定されていたFATES WARNINGの公演はことごとくキャンセルされていたそうで、オランダの地元プログレメタルのファン達に言わせると、自分の目で彼らがステージに現われるまでは本当にヘッドラインとしてでるのか信用できない・・・でも、ぜひ見たいというのが本音だったようです。もちろん、自分にとっては10数年間ほど、夢にまで見た念願のFates Warningの生ライブ。どんなものになるのか。しかも今回は脱退したドラマーMark Zonderの役割をあのDREAM THEATERのMike Portnoyが、特別にたった一回のHeadway Festivalのためだけにオランダに来るということで、Fates Warningのファンのみならず、Dream Theaterのファンも含めて、異様に熱狂的なムードに包まれておりました。・・・・・前置きが長くなりましたが、ついに暗転。・・・・イントロが流れてくる。「うお!、Disconnectedからか」Disconnectedのグルーミィーで重々しいギターが鳴り響く中、分厚いシンセサウンドの波が押し寄せてくる。最初に、Mike Portnoyがドラムキットに姿を表し、一際大きなどよめきが起こる。そしてJim Matheos, 山田太郎・・じゃなかったJoey Veraの姿が見えた。それから一番右側の短髪のあの人は、・・・・オオオオー!、Frank Arestiだ。ということは、最近ずっと続いていたサポート鍵盤奏者の姿はない。そうこうしているうちに、イントロで流れていた音はフェイドアウトして、Oneが演奏。ウオオオオー、凄い盛り上がりで、こちらもテンションが急上昇。ついにRay Alderが姿を表して、歌のフレーズが顔を出す「UNDER THE SPOTLIGHTS!!!!!」序盤から大合唱。スゴイー、カッチョエエ!!。流れが非常に素晴らしく、ひとつひとつの音に全く無駄が無い。Fates Warningの楽曲を1曲見るだけでも、ここに来た価値があると思わせます。目の前でFATES WARNINGが演奏しているなんて、信じられない。もう興奮の絶頂です。・・・・会場内はフロア−から2階席まで満杯状態。400人ぐらい入っているのかな?、とにかく一人残らずFates Warningを楽しみに観に来たという人達ばかりだ。私も勿論その一人だが、いやー感動しまくりました。その後、A Pleasant Shade of Grayから主に印象的なパートが2曲。Kevin MooreのキーボードのパートやMark Zonderのドラムパートは、Frank Arestiのギターと、Mike Portnoyのドラミングでアレンジされているが、アルバム以上にパワフルで濃密。それからPerfect Symmetryアルバム、Parallelsアルバム、Inside Outアルバムなどの各アルバムから、それぞれFates Warningの名曲オンパレード。いやー極上です。ニューアルバムのFWXからは、Simple HumanやAnother Perfect Dayなども演奏されました。個人的なハイライトの一つは、ファンの人以外には地味に感じられると思うが、The 11th Hour!。これの大合唱は鳥肌ものでしたし、自分も印象的なフレージングは一緒に歌いました。「I Know〜!It's getting late〜!・・・I feel I need.....To Explain!」最初は陰鬱でグルーミーな抑圧された空間が支配する中で、後半のヘヴィーなパートに以降してのハードな演奏で盛り上がるところなどたまりません。間違いなくFates Warningのファンにとっては、この場の雰囲気は他で味わうことの出来ない至福のときだったと思います。・・・・そしてセットリストの殆どが終了し、アンコール。な・なにぃー!!!!、これはO.S.I.ですよ。Office Strategic Influenceからの楽曲を2曲もやりましたよ。New Mathにおける非常にテクニカルでコンプレックスな演奏で叩き込み、Steve Wilsonが深く関わっていることでアルバム内でも非常に印象的だったShutDownがRay Alderの歌とFrank Arestiのギター、山田・・じゃなかった(笑)・・Joey Veraのベースによるベースによってうねりを上げるグルーヴとテンションの高さで観衆も盛り上がりまくってました。最後の締めくくりは、僕の記憶が間違えていなければ、Perfect SymmetryアルバムからNothing Left To Sayで終わりました。さらに2度目のアンコールが・・・しかし、照明が明るくなって、終わってしまいました。途中で音楽が流れて、一瞬消えたので、もう一度登場するか?と思いましたが。残念ながら、これで終わってしまいました。
[公式ウェブサイト: http://www.fateswarning.com/]

Fates Warning Live Setlist:
One
A Pleasant Shade of Grey Pt.3
Life In Still Water
Simple Human
Heal Me
Pieces of Me
Face The Fear
The Ivory Gate of Dreams: IV. Quietus
Another Perfect Day
A Pleasant Shade of Grey Pt.11
The Eleventh Hour
Point of View
Through Different Eyes
Monument

Encore:
The New Math (O.S.I.)
shutDOWN Pt.2 (O.S.I)
Nothing Left To Say



おまけ・・・

もっともっとFates Warningのステージを見たかった余韻のあまり、ホテルへ帰るバスの時刻からまだ1時間近く残っていたので、友達といろいろ会話をしていたら、幸運なことにFates Warningのメンバーが何人か出てきました。さすがにオランダでも高い人気を誇る・・というか世界中のファンがほっておかないですが・・・Dream TheaterのMike Portnoyの周りには人が群がってました。あとFates Warningのメンバーの周りにも熱狂的なファンが集まっていました。あまり時間がなくバンドの人達も帰りそうな雰囲気だったので、最後にMike PortnoyとRay Alderをなんとか掴まえることができたので、それぞれのDream TheaterとFates Warningのブックレットにサインをいただきました。ほんの一瞬の出来事でしたが、興奮と極度の緊張と疲労感の中で、自分の用件と挨拶をMikeとRayに伝えることができて幸せでありました。

いやーこの2日間、昨年に引けをとらない濃密な2005年度のHeadway Festivalを満喫できました。いろんな人に出会い、会話ができて感無量の滞在となりました。長いレポートになりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
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