HEADWAY FESTIVAL 2006 Report
at P60, Amstelveen (Netherland)
a live report & all photos by Pilgrim Tetsu

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今年のHEADWAY FESTIVALは、例年と大分フォーマットが異なる形式をとっておりました。メインの4/1(土)のインスト主体でSpecial Shred-a-licious Editionという名義でArt Metal Trio7for4などをフューチャーした企画でありました。また会場のP60やHeadway Festivalスタッフの計らいにより、その土曜日を挟むように4/1はAfter ForeverThrenodyのギグや、日曜日はVanden PlasSphere of Soulsのギグという、なんとも美味しいラインナップが登場しました。というわけで、今年も無茶を覚悟で、オランダを訪問することになりました。厳密に言うと、上でも書いたようにHeadway Festivalはメイン1日だけでしたが、金曜・日曜を細かく分けると妙にややこしくなりますので、便宜上ここでは全部をひっくるめてHeadway Festivalに関するレポートとしたいと思います(^^;)。ハイライトは、新譜をつい先日リリースしたばかりのドイツが誇るProg Metal系バンドVanden Plas、驚異的なアンサンブルと技巧展開を見せて圧巻だったJonas Hellborg, Mattias IA Eklundを擁するArt Metal Trio、そして変幻自在のカラフルで高度な演奏技術を持つドイツの7for4や、オランダの至宝Joop Wolters Bandと新人技巧派Prog MetalバンドのSphere of Soulsなど注目すべきラインナップが素晴らしい演奏をステージ上で見せてくれました。それでは早速レポートに移りましょう(^^)
Report Index:
[Threnody][After Forever]
[Dark Harvest][Plug-In][Joop Wolters Band][Rob van der Loo][7for4]
[Dennis Leeflang][Marcel Coenen with his Friends][Art Metal Trio]

[Sphere of Souls][Vanden Plas]

【2006/03/31: Headway Festival前夜祭編 】

Threnody:
すいません、Threnodyの写真が一つもなくてごめんなさい・・・(多分、何かの画像をアップするかもしれません。・・・・とりあえず、その代わり写真が今は無いので、本来出るはずだったOrpheoのメンバーと関係者を撮影したデジ画像をばアップしておりますけん・・↓)。

(左がOrpheoのシンガーWendelinさん、マネージャーのFloorさん、右側はメンバーかと思ってましたがメンバーのお友達の方)

・・・本来は、オランダが誇る期待の新人プログレハード系バンド、Orpheoがオープニングアクトとして登場する予定でした。ところが、会場側とAfter Foreverのマネージメント側との間での話し合いがこじれており、結局Threnodyがライブを行うことになりました。正直これを行く直前に知って凄くガッカリしました....orz。・・・・ですが、非常にラッキーなことにOrpheoのメンバーに数人会うことができました・・・ということで記念に写真を上に入れておきます。またOrpheoについては、別で記載する旅行記レポートで触れたいと思います。・・・えーっとThrenodyのことなんですが、実は彼らのライブ演奏はまともなのは数えて2曲ぐらいしか観ていません(^^;)。かなり硬質且つPower Metal的なロックバンドという印象を持ちました。そうですね、Metal Church的な音圧で彼らよりも凄くシンプルな演奏形態で、AC/DCのように4/4ビートを機軸にプレーをしています。サウンド全体は、驚くほど引き締まっており、ライブ向けの曲を演奏しておりました。地元の野郎ファン達の心をガッチリ掴んで反応は良好でした。特にこのバンドで一番光っていたのは、Helloiseなどで日本のDutch Metalファンにはお馴染みのErnst Van Ee氏でした。彼のドラミングは非常にテクニカル且つシャープなもので、彼がソロやドラムで前面に踊り出るところは非常にエキサイティングであり、とても素晴らしかったです。・・・・しかしながら、私の心境はとても複雑なもので、Orpheoが観れないということもあって、なんともしれない気分だったいうのは言うまでもないです。
[Threnody公式ウェブサイト: http://www.threnody.com/]
[Orpheo公式ウェブサイト: http://www.orpheo.nl/]


After Forever:

いよいよ今日のメインアクトAfter Foreverが23時頃に登場しました。ゴシックメタル系のライブは、もちろん自分にとって初めてとなるので楽しみにしておりました。会場が暗転し、非常に分厚いシンフォニックなサウンドが会場を包む。少ししてから、バンドメンバー全員ステージに登場。会場内には女性もたくさんいましたが、中にはゴシック風のドレスを着ている優雅な人たちも何人かいました。うむ、序盤からかなりボンバスティックでオーケストレーションが施された分厚いメタルサウンド。オーケストレーションやシンセティックな音は、新メンバーJoost van den Broekがメインで担当。やはり、圧巻だったのは女帝と呼ぶに相応しいFloor Jansen。観客をのせるステージングの術をちゃんと知っており、妖艶な美貌とオペラティックな歌唱力でオーディエンスをグイグイ引っ張っていきました。ステージ上で一際、目立つ存在と言えましょう。ブックレットを見ても綺麗な人だなーと思いますが、実際に動く姿を見れば見るほど、本当に美しい人だなーと見とれてしまいました。・・・しかし、会場はかなりの人数入っていたので、後方からしか写真が撮れなくて良い画像なくてごめんなさい。バンド自体の演奏は極めてソリッド且つ着実にきっちりとプレーするという感じです。ミディアムからアップテンポまで演奏しておりました。アップテンポ且つスピーディーな曲は、パワーメタルのライブと同様に盛り上がりを見せていました。ゆっくりめの曲では、非常にエモーショナルで耽美なムードも感じられましたが、After Foreverの場合は非常に分かりやすい印象です。Joostが在籍しているため、曲によっては彼がソロを取る所ではNeo-ProgやProg Metal的なムードを感じさせていて、面白い。また最近リリースされた新作からの楽曲をプレーしているせいか、とてもキャッチーな親しみやすさとポップな風味も前面に出ていて驚きました。楽曲によっては、フロールが会場から一旦引っ込んで男たちだけでの演奏になるときもありますが、やはりフロールがいないと全然印象が変わってしまいます。元々は「美女と野獣」系のゴシックメタル出身バンドだけに、曲によってはグラント声(デス声のことです)で咆哮するボーカルとフロールのオペラ的ボーカルの対比を楽しむといったところでしょう。アルバムでは、時にProg Metal的な部分もあるかなーと思いましたがJoost以外のプレーでは、あまりそう感じませんでした。キャッチーなゴシックメタルで、万人に楽しめるライブだったと思います。アンコールもありましたが、僕がホテルに戻るための最終バスの時刻がギリギリ迫っていたので、0時ぐらいを過ぎたところで会場を出ました。
[公式ウェブサイト: http://www.afterforever.com/]


【2006/04/01: HEADWAY FESTIVAL
Dark Harvest:

いよいよHeadway Festivalの本番です。今回は変わった名義のShred-a-liciousスペシャルということになっておりまして、インストや高度なアンサンブルを主体にしたバンドが次々と登場するという形式になっています。まずはトップバッターのDark Harvestです。このバンドは、アイスランド出身のメタル・トリオということで非常に珍しい存在と言えるでしょう。非常にラウドでメタリックなインストを披露しています。スタイル的には80年代に全盛だった本来の正統的なパワーメタルをテクニカル且つスピーディーに演奏するという印象です。所謂Prog Metalタイプともハードフュージョンタイプと異なり、非常にメタリックです。ギターは非常にHM的なシャープな音をキープし、タッピングや速弾きを織り交ぜる手法はオーソドックスと言えるでしょう。ドラムも終始、テンポを持続して底辺を支えます。このバンドで圧巻だったのはベーシストで、非常に高速なビートを刻みつつビシバシと技を見せており、フィンガリングが凄いです。普通の人だと腱鞘炎になりそうです。ステージングは何曲か見た後で、旧友やLion MusicのLasse夫婦とOrpheoのメンバーや関係者と雑談で盛り上がったので、途中で場所を変わりました。・・・全体的な印象は非常にソリッドでテンションの高い演奏でした。もう少し現代的な解釈を施してくれていたら、なお良かったでしょう。とは言え、充分オープニングアクトとして頑張っていました。ライブの後で、Dark Harvestのメンバー全員とも少し話しができました。またIcelandにPain of Salvationを招聘した責任者の人も動向しており、Pain of Salvationの話にもなりました。会場を離れる前に、プロモCDいただきました(ありがとうございます)。
[公式ウェブサイト: http://www.helviti.com/darkharvest/]

Plug-In:

このPlug-Inというバンドは、フランス出身の技巧派インストバンドです。変態技巧スーパーギターリストとして知る人ぞ知る、Ron Thalが率いるBumblefootの欧州ツアーで起用されるメンバーを何人か含んでいます。。・・・レポートの途中ですが、つくづくいい画像が取れていないダメダメな管理人を許してください(滝汗)。正直最初は、どんな感じのバンドなのか掴みにくい形態のバンドでした。次第にこちらに伝わってくるものがあり、中盤から後半にかけて非常によくなってきました。さすがはBumblefootで一緒にツアーするだけあって、インスト陣はかなり強力でした。基本的には、2人のメインギターリスト達がトリッキーな演奏を展開しつつ、豪快なリズムセクションが絡むという、ヘヴィなフュージョンという感じです。このバンドで一際素晴らしいと思ったのはドラマーでありました。卓越した演奏技術と音の出し方に魅了されました。
[公式ウェブサイト: http://www.plugin-band.com/]

Joop Wolters Band:

いよいよ、この辺りから僕が期待し待ち望んでいたバンドが登場です。まず個人的な最初のハイライトJoop Wolters Bandです。現在はHubi MeiselのプロジェクトでProg Metalサウンドに関わり、また自身のグループではコンテンポラリーな技巧派ハード・フュージョン系のサウンドなどと言った具合に、かなり幅広いスタイルで活躍しています。蛇足ですが、あの巨匠Steve Vaiを唸らせたJoop Woltersの音楽性とギターの腕前は、無視できない存在であります。今回のライブでは、ひょっとしたらMind's EyeのDaniel Floresも登場するかもしれないという期待は、あったものの残念ながらその計画は今回流れたようです。その代わり、ドラマーに地元オランダ出身の技巧派Patrick Eijdemsを擁しており、なんとベーシストにはあのLemur VoiceElysionでも素晴らしい演奏を聞かせてくれたBarend Trompが登場とあいなりました。今回のライブでは、彼が既にリリースしている2枚の素晴らしいソロアルバムと、これから出る新作から数曲ほど新しいものが演奏されました。演奏は非常にテイスティー且つ技巧美が炸裂した、とても秀逸な仕上がりでライブならではのダイナミックな迫力・そしてクリーンなサウンドに魅了されました。インスト系のリスナーやファンならば、大変楽しめるライブの仕上がりで私は大満足です。やはりArabesqueやElysionなどで培われたJoop Woltersならではのハードフュージョンなので、Prog Metal的要素も大変濃く、またBarend Trompも参加ということでLemur VoiceやArabesqueを彷彿とさせるProg Metalテイストの技巧大会と、スーパー・スリリングなインタープレーなども登場し感無量です。今回はJoop Woltersの助っ人としての参加だったせいか、Barend Trompはスティックを演奏することはございませんでした。ハード・フュージョンやProg Metalのインストサウンドが好きな人には超お薦めです。今年の9月頃に新作もリリースされるとのことです。いやー非常に素晴らしく、堪能いたしました。ありがとう、Joop Wolters!。
[公式ウェブサイト: http://www.joopwolters.net/]


Dinner Break(夕食・休憩): Rob van der Loo's Instrumental Clinic

夕食の時間になりましたが、殆どの人たちはRob van der LooDennis Leeflangのクリニック企画で人が群がりまくっていました。さて、まずはRob van der Looのクリニックから参りましょう。Rob van der Looは、Sun Cagedや自身のソロアルバムで活躍をしているベーシストならびにスティック奏者であります。ひょっとしたら、ご存知でない方もいらっしゃると思いますが、彼は既にSun Cagedから脱退しております。Robのスティック演奏ですが、非常に見事で堪能しました。まずはオープニングとして1stソロとFreak Neil Inc.の楽曲を演奏。非常にエキゾチックでテンションの高いインストスタイルで、曲の雰囲気はRushやSun Caged, King Crimson、そしてSieges Even的なものもあり、とてもモダン且つコンテンポラリーな技法を用いたProgressiveなインストで大変楽しみました。またクリニックということで、Stickに関する演奏のアドバイスや楽器の説明などをオランダ語で交えつつ、進行するスタイルでありました。オーディエンスは非常に熱心に聞き惚れていました。本当はずっとその場にいたかったのですが、僕はその後7for4のサウンドチェックが見たかったので、場所を途中で移動しました。
[Rob van der Loo公式ウェブサイト: http://www.robvanderloo.com/]
[Sun Caged公式ウェブサイト: http://www.suncaged.com/]

7for4:

ドイツはミュンヘン出身の超絶技巧グループ、7for4がついにベールを脱ぐときがやって来ました。昨年のHeadway Festivalのクリニック時に7for4のメンバーWolfgang ZenkMarkus Grutzner両氏と会話を交わしましたが、それ以来の再会ができて嬉しい限りでした。今回は7for4全員が揃ってのパフォーマンスということで、果たしてどんなものになるのか?と期待しておりました。いやー結論から言いますと、超ぶっ飛びの大変楽しいライブでした。前回のWolfgang Zenkのクリニックで、その類まれなるギタープレーに魅了されましたが、今回もそれを堪能することができました。いやー本当に終始、飽きさせることのないセットリストで構成されており、見せ場がたくさんありました。ギター・ベース・キーボード・ドラムの4人による変幻自在の超スリリングなローラー・コースターライド。アンサンブル、各個人による超絶ソロ、そして圧巻のスーパーインタープレー。ダイナミックな超絶技巧に魅了されて、文句無しです。ここまで見たグループの中では、トップをマークするパフォーマンスでした。ドイツのLiquid Tension Experimentと表現したくなるグレイトな技巧と、バラエティに富んだ音楽性を眼前で見せ付けてくれましたね。完全に圧倒されました。言うまでもなく演奏力のみならず、音のバランスやミックスともに秀逸です。ハードロック・フュージョン・ラテン・カントリー・ジャズ等のあらゆる要素を見事昇華し、独自のワールドを展開しておりました。もちろん、どのメンバーも確実な演奏パフォーマンスを持っていますが、WolfgangだけでなくMarkusが見せるベースプレーと存在感がありカッコよかったです。Liquid Tension ExperimentDixie Dregsなどが好きな人にも注目して欲しい、凄いグループです。主に1stや2ndからの楽曲がメインでしたが、新作からタイトル無しの新曲を2曲披露。どちらも爆裂スーパーテクニカルなチューンで満足する出来栄えでした。3rdアルバムのリリースがとっても楽しみです。
[7for4公式ウェブサイト: http://www.7for4.de/]

Dennis Leeflang's Drum Clinic
すいません何故か写真を撮るのをすっかり忘れていましたので、画像がありません(あとでデジ画像に変わる何かを入れようと思ってます)。20:00頃から、元Sun CagedDennis Leeflangのドラムクリニックがスタート。意外と知られていないかもしれませんが、Dennisは過去にWithin Temptationにも在籍しておりました。彼には過去1回会っていますが、とても感じのいい青年だということには変わりがありませんでした。さてDennisについてですが、2年前から活動拠点をNew Yorkに移して、いろんなセッション活動をやりつつ、やはりRon ThalBumblefootにも加わっています。スタイル的には、割と正統的なドラムサウンドとプレーを信条としております。またかなりのハード・ヒッターとしての側面も持っていて、見せるドラミングを持っていますね。序盤は2曲ほどノンストップでプレーしていまして、Bumblefootの曲とNew Yorkで活躍しているシンガー(名前は失念しました)のポップでアップテンポな曲をバックに叩いていましたが、どちらの楽曲も素晴らしかったです。Rob van der Looの時と同様、ドラムのクリニックなので彼が使用している機材や奏法についての説明をしました。彼はもちろんオランダ育ちなのですが、地元の人間だけでなく色んな国から見に来ているのを充分意識していたので、英語で解説してくれて分かりやすく興味深かったです。オランダの人は大抵流暢な英語を使いますが、彼はもうアメリカ生活も長く完璧と言っていいほどのネイティブな英語を操っていました。ドラムキットやスティックの話に及んだとき、Chop Chopというドラムメーカーの名前が出ました。どうやらこのChop ChopはPoisonRicky Rocketも出資しているとのことで、オーダーでも作ってくれるような話をしてました。
[Dennis Leeglang公式ウェブサイト: http://www.dennisleeflang.com/]
[Sun Caged公式ウェブサイト: http://www.suncaged.com/]

Marcel Coenen with his Friends:

このHeadway Festivalでは常連さんと言ってもいいほど、いろんなところに顔を出しているSun CagedのギターリストのMarcel Coenen。今回は、Marcel Coenenのソロアルバムで出演していた縁のあるメンバーが数名入れ違いで登場するという形態をとっていました。核となるMarcel CoenenとSymmetryの名手Frank SchiphorstとベーシストのRichard Ritterbeeksが中心で、あとはドラマーもシンガーも少しづつ順番に誰が登場するかは楽曲によって分からないという状態で、なかなかに面白い。もちろんキーボーディストが曲をサポートする時も勿論あり、ArabesqueのRene Ubachsが担当していました。Marcel Coenenのソロアルバムが主体で、爽やかなハード・フュージョンから、Prog Metal的なものや、AORテイストのものも含めてかなり幅が広い。しかし、観衆に分かりやすく訴えかけるものになっていたと僕は思います。実は残念ながら、最初から最後までいたわけではないのが残念です。夕食の時に少しだけ会場を離れて、戻ってきたらあと数曲という具合でした。ギターの2人を中心にアップテンポでそれこそ、速弾きを多用したものやコンテンポラリーなギター奏法の粋を集めた楽しい演奏大会が繰り広げられていました。まさに音の洪水で、音の数も優にミリオンは超えていたのではと思います。インスト系のハードロックやメタルが好きでない人には、楽しいステージングを見ることができたのではないでしょうか。最後の2曲は、WhitesnakeのStill of the NightとKansasのCarry On Wayward Sonで、非常に原曲に忠実でエキサイティングなものでした。ステージで演奏していたMarcel Coenen達は、とってもにこやかに非常に楽しんでいる様子が伺えました。また、現在のSun Cagedのニューメンバー達であるドラマーのRoel van HeldenとボーカリストのPaul Villarrealも活躍しておりましたね。ひょっとしたら、Paulは歌に関して言えば、前任シンガーのAndreよりも安定しているのではなかろうか?と思うほどでした。あ、そうなんですよ、女性ボーカルも登場したりとPaulを中心にボーカルを含む曲も披露されていましたので、このShred-a-liciousエディション企画の中ではシンガーも活躍できる場があった唯一の例外だったかもしれません。
[公式ウェブサイト: http://www.lastcrack.com/]

Art Metal Trio (Jonas Hellborg/Mattias IA Eklund/Zoltan Csorsz):

さていよいよ、ヘッドライナーのArt Metal Trioを残すのみとなりました。このArt Metal Trioが今期Headway Festivalのベストパフォーマンス大賞だったかもしれません。最初はHeadway Festivalのためだけに結成された、特別なトリオ編成なのかと思っておりました。でも、どうやらそうではないですね。21:00を少し回ったところで、遂にArt Metal Trioが登場。過去にHeadway関連のイベントやフェスティバルで、オランダには数回登場して、人気者のスウェーデンの個性派ギターリストMattias IA Eklund。数々のセッションやグループにも参加し、活躍をしている重鎮ベーシストJonas Hellborg。そして、つい最近までは北欧の雄The Flower Kingsで活躍していたドラマーZoltan Csorszという凄いトリオ編成になっています。最初はグループ名を聴いたときは、どんな音楽になるのか全く想像がつきませんでした。実際ライブが始まってみれば、このグループがMVPと呼ぶにふさわしいものを確実にかっさらったと言ってもいいでしょう。とにかく全編に渡って、怒涛のアンサンブルと凄技が展開されておりました。彼らの場合、音楽のスタイルやジャンルを無理やり分類するのは、野暮なことなのかもしれません。あえていうならば、Prog Metal的な要素も感じられるテクニカルな超絶ハードフュージョン。もしくは、メタリックなアート・インストゥルメンタル音楽と言いたくなるものがありました。各楽曲の間にMattias Eklundによる早口な面白いMCで会場の観客を楽しませる一方、演奏自体は全員非常にストイックに徹しており、圧倒されます。Mattiasの個性溢れる現代的なテクニカル・ギタープレーは、まるでSteve VaiJohn Petrucciの両人にも迫る勢いがありました。ステージ上のメンバーだけでなく、オランダはAmstelveenの会場に集まった観衆みんなを和ませたり、驚かせたりする役割をキープしてました。一方のJonasのベースプレーは、非常に変幻自在で高度な技を駆使したプログレッヴな内容。このArt Metal Trioの中で最も音楽的な采配やイニシアチブを取っているのは、案外Jonas Hellborgなのかもしれないという貫禄がありました。そう思わせるものが充分にありました。それにしても、個人的には最も自分の耳や目に新鮮だったのは、Zoltanのドラムワークだったと信じております。なんという豪快なドラミング且つシンバルさばき!。楽曲に合わせて超攻撃的になったり、メローでテイスティーな側面を押し出すなど、色んな引出しを持った凄い才能の持ち主であります。単に凄いといっては失礼なぐらい、彼はドラムの鬼だと思いました。今日はアンコールも含めて全部のパフォーマンスを見ることができて、感無量です。Art Metal Trioは、観衆を自分達の演奏やステージングに瞬時にひきつける才能は並々ならぬものがございました。彼らの楽曲の中で、特にArt Metal Trioがなんたるかを凝縮しているのが、Mumbaiというインスト曲でした。猫の目のようにコロコロと場面が変わりつつも、Prog Metal的にヘヴィ且つテンションの高いアンサンブルとインタープレーに度肝を抜かれました。スリリングなインスト音楽が好きな全ての人に気に入っていただけるのでは?と思いました。とても面白いライブを見たなーという結論に達しました。
[Bard Recordsサイト: http://www.bardorecords.com/]
[Jonas Hellborgサイト: http://hellborggroup.com/]
[Freak Guitarサイト: http://www.freakguitar.com/]
[The Flower Kingsサイト: http://www.flowerkings.se/]

【2006/04/02: Headway Festival後編
Sphere of Souls:

この日はギリギリまでゆっくり友人宅でゆっくり過ごすことができました。夕食後に、Amstelveenは一緒に出発。Sphere of Soulsの開演19:30までの時刻に無事到着しました。Sphere of Soulsは、元Sun CagedのAndre VurbuumAnand Mahangoeをリードギターリストに擁する新しいProg Metalグループであります。他のメンバーもImperiumAutomn Equinoxなどテクニカル技巧グループ出身者固められており、どういう演奏を見せてくれるのか非常に楽しみな存在でした。彼らは、今月の下旬に1stアルバム「From The Ashes」をLion Musicよりリリースしますが、その中から殆どの曲を演奏してくれて個人的にはハッピーでした。演奏は非常にタイトで豪快であります。テクニカルな部分と歌の部分の両方バランスを上手くとっており、難解な印象はありません。技巧的なメンバーで固めているものの、無意味にテクニカルに突っ走らない感じです。むしろアンサンブルと歌を主体にして、ここぞというところでスパっと切り込むところが痛快。出だしのところ、Andreは歌いづらそうな面がしばしばありましたが、次第に本来の調子を取り戻しSun Caged的な歌メロも披露して素晴らしかったです。最後に飛び出したテクニカル且つ、攻撃的な楽曲と演奏力が特に素晴らしかったです。このバンドを結成して、2回目のライブということでしたが、それぞれが既に名のあるバンドやプロジェクトで活躍している人たちなので、安心してみることができました。今後、さらにドンドン良くなっていくポテンシャルの高いバンドで、Vanden Plasの前座に相応しいし、見どころのあるグループです。ライブ後にAnand Mahangoeさんと少し挨拶ができて、いい思い出になりました。Sun CagedやFates Warning、そしてPsychotic Waltzのダークで妖艶な部分をブレンドしたかのような音楽性が魅力的です。新譜のリリースを待ち望みましょう。
[公式サイト: http://www.sphereofsouls.com/]

Vanden Plas:

うちのサイトではドイツが誇る大物Prog MetalバンドVanden Plasに関しては、あえて細かく説明する必要がないのではないか?と思うぐらいです。実は5〜6年ほど前に、Vanden Plasを観に行く予定がポシャってしまい、あれから大分年月が経ちました。でも、うおー、遂にこの日がやってきたかーと感慨深いものがありました。無謀な試みとは言え、観に来て良かったなー。21:20頃に会場が暗転・・・、もちろんステージの準備はスタンバイOkay状態。もの凄く分厚いシンフォニックなオーケストレーションとシンセサウンドが地響きの如く鳴り響く・・・。僕は観衆側から見て、右側にスタンバイしていました。すると右手からStefan Lillがギターを構え登場、そしてキーボード・ブースにはGunter Werno先生がスタンバイ。既に左側ではベースのTorsten Reichertとドラムキットの背後にAndreas Lillがスタンバイ・・・S.E.とイントロダクションがまだ流れているが、バンド側は、いつでも演奏に突入できる状態だ。S.E.が終わると、突然ヘヴィーなギターリフと、分厚いシンセリードの音が耳に飛び込んでくる。ええー、これはMetallicaのFor Whom The Bells Tollsだ!(驚愕)。もちろん、これはお遊びで、彼らの新曲Christ Zeroに流れるまでのインタールード的なものに過ぎなかった。怒涛のイントロダクションで、演奏は見る見るうちにボルテージが上がっていく。うおーギターも非常にクランチーだし、リズムセクションもスゲー迫力だ。Gunter先生のキーボードサウンドも抜けが非常に良い。掴みは十分Okayだ。そうしていうちに遂に我らがリードボーカリストAndy Kuntzが登場。大きな身振りで会衆を盛り上げる。最初のオープニング・トラックである
Christ Zeroで圧倒されたかと思うと、間髪いれずにそのままPostcard to Godに移行。コーラス部が印象的で、オーディエンスのノリも大変良いし、演奏も文句無しでダイナミックだ。多分その後で、Wish You Where HereやSilently辺りも演奏されたと思うが、色んなことがステージで展開されていて、憶えていることもあれば忘却の彼方の部分もあるかもしれない・・・というのを了承しながら読んで下さいね(^^;)。

計数曲が演奏された後、ようやくAndyのMCが入る・・・うーむ歌だけでなく、普通の喋り声もカッコいい。「Vanden Plasの新譜がリリースされたばかりだけど、新曲はどうだ?」という問いかけに勿論ダイハードなVPファンは、もちろんポジティブな応答で喜びまくる。それから、Far Off Graceアルバムからタイトルトラックの
「Far Off Grace」や「Inside of Your Head」、「Iodic Rain」なども演奏される。バンド自体、Far Off Graceを気に入っていることもあるのか、ライブでは非常にFar Off Graceからの楽曲がピッタリと嵌まっていて打って付けである。もう正直言って、ここまで来ると「素晴らしい」とか「最高」とか、「スゲー」という単純な歓喜の言葉しか出てこないのが自分の表現力の限界のようで悲しい限りだ(^^;)。しばらくヘヴィーで溶岩のように熱くホットな楽曲が続いたので、クールダウンの意味も兼ねてBeyond Daylightアルバムから「Healing Tree」が演奏、いやー味わい深い曲ですねー。またスピーディー且つアップテンポな曲として、同じくBeyond Daylight作品からNightwalkerが演奏されるが、ここでは序盤同様でGunter Wernoの目が醒めるようなキーボードワークスとソロが冴え渡る。Stefan Lillとの高速ユニゾンパートも一糸乱れずピタっとキメまくって流石。おぼろげな記憶をまた辿っていくと、再び新譜の楽曲に戻ってShadow I Amのコールもありました。しばらくすると、今度は1stアルバムColor Templeより、メロー寄りなハードな良曲Soul Survivesが演奏、この曲もいい歌メロとサビで観客は喜んでおりました。うーん、1stアルバムからは、この曲だけだったと思います。個人的には、FatherやPushなども聴きたかったかもしれませんが、とても贅沢な悩みですね。

・・・そして個人的には極めてエモーショナルな場面になりました。またAndyのMCが入り、「・・・・このステージ上でも、太陽が必要だと思うんだ!・・・次の曲はInto The Sunだ!」。うおー来た〜!、マイ・フェイバリット・ソングがやって来ましたよ!。
Into The Sunでは凄い一体感があったと思います。Into The Sun〜♪・・・We Are Falling From The Silence〜♪・・・この辺りの歌メロ・サビ・コーラスを楽しみました。こうやって改めて考えてみると、新譜とFar Off Graceから演奏される曲目が多いなーと強く感じました。ショーも後半に入り、Andyが「次はキミ達、何が聴きたいんだい?」と振ると、観客の一人が「レインメーカー!!!!」。「Okayいいよ、次の曲がそれだといいけどね・・・」、これで違う曲な訳がない(^^)。The Rainmakerの導入部である「Fire Blossoms」が流れてくる。うおー!、さらにボルテージ高まるなー・・・このFire Blossomsもかっこいいイントロダクションですよねー。そして遂に、The Rainmakerキター!!!!。生Rainmakerが観れるだけで、ここに足を運んだかいが充分にあります。ショーも終盤なのに、Andy Kuntzの声は張りがあって全然余裕があります。演奏も今までベストな体勢で臨んでいると言ってもいいかもしれない。Vanden Plasのバンド全体のケミストリーが一番完璧に作用していると言ってよいだろう。それにしてもAndyの歌の伸びが素晴らしい!、最後の最後でバンド全体の爆裂疾走パートで締めくくるところなんて、言葉に出来ないぐらいのカッコよさ。

Rainmaker終了後、一旦バンドメンバー全員引っ込むが勿論アンコール。「We Want More! We Want More」のコールに答え、再び登場。大分記憶がおぼろげになっているが2曲ほどやってくれたかな?。オールラストは、やはりFar Off Graceアルバムから「
I Can See」だ。これもドラマティックでアップテンポな爆裂疾走サウンドだが、本当にどこにこんな余力があるのだ?と言いたいぐらいエネルギー満点状態。・・・・いやーChrist Zeroから最後のI Can Seeに至るまで、とても充実したライブを見せてくれました。Andyの歌だけでなく、AndreasとTorstenの二人三脚の豪快なリズムセクション、スリリング且つエモーショナルたっぷりのソロを放つStefan、そして流麗なキーボード・シンセワークスを披露してドラマティックな演出を完璧なまでに見せてくれたGunter先生。自分にとって記念すべき初のVanden Plasのライブはこうして終焉を迎えました。もちろん音のバランスはすこぶるよく演奏もサウンドも文句無しで、たっぷりと楽しみました。ありがとう、Vanden Plas!
[公式ウェブサイト: http://www.vandenplas.de/]

To Be Continued・・・(多分?)

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