HEADWAY FESTIVAL 2007: Special Live Report (part 2)
at P60, Amstelveen (Netherlands)
on April 7th (Saturday)
a live report & all photos by Pilgrim Tetsu
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昨夜(4/6)は、To-Mera, Sun Caged, Zero Hourといった強豪揃いのProg Metal系バンドのラインナップでありました。彼らは、どれも大変いい起伏を作り上げたいたと思います。4つのバンドが出場という第一日目のスタイルは、最初どうかな?と思いましたが、僕の場合は長旅の疲労感をほとんど溜めることなく第2日目に臨む事ができて効果的だったと思います。今回のHeadwayでは、どうしても次のプログラムに移る場合、搬入と搬出それからサウンドチェックなどに時間を要する場面が多く、定刻より遅れて若干プログラム全体の時間に影響が出てきたことは否めないでしょう。グループによっては、機材を現地で調達して臨むグループもあり、大物や地元のグループなどを除くと、遠距離から来たグループは100%満足の行く環境でのステージングでは無かったかもしれません。しかし、第2日目となるHeadway Festivialのショーは、第1日目と同様に大変個人的には満足の行く楽しいものとなりました。地元のTransmission0、若手のSeventh Wonderを始め、Dial, Morglbl, Loch Vostok, Sleepytime Gorilla Museum, Redemptionまでバラエティに富んだ内容となりました。それでは、Headway Festival後編レポート(April 7, 2007)をご覧ください。
【2007/04/07: Headway Festival pt.2】
Report Index:
[閑話休題:アムステルフェーンを歩く]
[Transmission0][Seventh Wonder][Dial][Morglbl]
[Dinner Break: Boel Guitar presents Dutch G3 (Joop Wolters, Marcel Coenen, Frank Schiphorst)]
[Loch Vostok][Sleepytime Gorilla Museum][Redemption]
[閑話休題:アムステルフェーンを歩く]
第2日目は昨日と異なり時間には間に合ったものの、会場オープン時間のPM14:00を過ぎても、お客さんはしばらく入らせてもらえない状態でした。昨日もサウンドチェックで時間を大分とっていたが、今日は次のプログラムに以降するまでに、どのグループも調整に時間を費やす場面が心無しか多かったと思う。さて、当分始まりそうにないので、とりあえずAmstelveenの街中とショッピングモールを少し徘徊することにしました。前回はフリーマーケットやカーニバルをやっている時期でしたね。今回は復活祭のイースターということで、近くのショッピングモールではお祭りのような賑わいでありました。うまそうな食べ物コーナーなどを巡回しつつ、外で売っていたおいしそうなサンドイッチをゲット・・・もぐもぐ(笑)。プラザ辺りの方では、お遊戯コーナーやお絵かき大会などの催しものがにぎやかに行われていました。イースター・バニーのぬいぐるみを着た若い人たちや子供たちがワイワイ楽しそうにって・・・うわぁああ〜ライブレポートになっていません(^^;)。サーモン・サンドイッチをパクパク食しながら、会場に戻りました。
Transmission0:
多分この時点で会場に入るとPM14:30を過ぎており、地元オランダのバンドTransmission0 (トランスミッション・ゼロ)が演奏を始めておりました・・・ちなみに以前、出演したTransmissionはドイツのグループですから、こちらはゼロがついているので全然違うバンドですよ。数曲ほど様子を見ていましたが、Devin Townsendのソロみたいなモダンなメタルをプレーしていました。アトモスフェリック且つスペーシーなサウンドが空間を支配しつつ、全体的にダークでデスメタルやハードコア系のボーカルを武器にしている感じです。どちらかというと会場のP60で、多く演奏されているようなテクノ型のバンドなどのように真ん中にキーボードブースというかDJブースみたいなものが鎮座してありました。そこで空間系のサウンドを放出している感じでした。僕が見て聴いた限りでは、次第にアグレッシヴな部分も演出していましたがモダンメタルとデス声を得意としているという感想に落ち着きました。序盤で疲れがたまらないようにするため、ある程度様子を見た後で、Dinner Breakの時間に演奏をするHeadway Festival版というかオランダのG3のJoop Wolters達のスタンバイやリハーサルに興味があったので、そちらのステージ側に移動することにしました。すいません、Transmission0の写真をとっていませんでした(^^;)
Seventh Wonder:
Seventh Wonderがサウンドチェックや準備をしている直前に昨日お会いすることができたSensory/The Laser's Edgeの総責任者であるKen Golden氏とプログレ全般のお話やProg Metal、果ては日本のバンドに関する内容のお話を交わすことができ至福の時でありました。そうこうしているうちに、フランスのMorglblの人たちが会場入りなど、だんだん人の数が増えてきだしたと思う。・・・Lion Musicより既に2枚のアルバムをリリースし、ここ日本だけでなく海外のMelodic Metal/Prog Metalファン層にも次第に注目を受けつつある北欧の新星Seventh Wonderの登場を見守っておりました。時間は来たようですが、サウンド調整に納得がいかないようで、特にギターの人はギリギリまで納得がいかなかった様子でありました。これについてはライブ後にJohanやAndreas、Tommy達と話して教えてもらったところによると、ギアは現地でレンタルしたものだったそうです。しかし、無常に時は過ぎていくわけでありまして、ある程度サウンドメイキングに納得してギリギリの段階で遂に登場。Lion Musicからの最新作「Waiting In The Wings」からの楽曲が演奏されました。メロディアスなProg Metal/Melodic Metalファンの観衆からは既によい反応が得られている。今回のステージでは、若さと勢いのある非常にポジティブ且つキャッチーなサウンドが展開されており、きっと日本の北欧メタルファンのハートをガッチリ掴むポテンシャルがあることを発見。だれか、彼らを日本に呼んだほうがいいと思いますよ。テクニカルなパートはProg Metal然としていますが、明るいパートが前面に躍り出てくるところはA.C.T.やオランダのSplinterに通じる楽しさを持っていると感じます。またキーボードのパフォーマンスも良好で、ソロやバッキングの取り方は、AsiaやEuropeの影響もありそうな気配。当然インストが活躍するところは、まさにDream Theater, Mind's Eye, Andromedaに通じるかのようなスリリングさであります。
初期のデモや1stアルバムからも曲目がプレーされましたが、ライブで聴くとさらに厚みとテンションがあって素晴らしい。とにかくキャッチーでメロディアスを信条としており、会場のリアクションはとても良い。やはりHeadway Festivalの観衆も基本はメロディーがしっかりとしているものが大好きというのは、日本人の好みに近いと僕は思う。個人的なハイライトは、Star of DavidとThe Edge of My Bladeを中心にすこぶる良かったと思う。パフォーマンス自体は大変エネルギッシュでボーカルを中心に動きも豊富だったので、その点はバッチリ及第点以上で大満足。しかし、音的にはかなり苦労を強いられていたようだったことは否めないが、これは自分たちのギアやサウンドエンジニアに頼ることができないアウェイでの勝負だけに、これをどうこういうつもりは毛頭ない。決して音が聞こえにくかったとか団子状になっていたという訳でもないですし、よほどのことが無い限り、観衆全体殆ど気にしている人はいなかった様子です。
シンガーのTommy Karavikは、会場の空調や咽喉の調子が不調のためか、MCのとき、声がよくひっかりかえっていました。最終的には声がかなりつらそうで、「もう咽喉の調子が最悪なんだよ、ごめん。もうなんとでもいってくれよ。この女性ぽい変な声なんとか直らないかなー参ったよ・・本当に!(苦笑)」・・と半分ジョーク・半分とてもくやしそうにしていました。後にMC部分は、ベーシストのAndreas Blomqvistが饒舌な英語でカバーしてました。Tommyの場合、歌的には少しハスキーぽくなる傾向があったけども、パフォーマンス自体に揺らぎのないドッシリとしたものを披露してくれていたことを評価したいと思う。本人たちは、サウンドメイキングやステージ上の音には納得が言っていない様子でした。ですが、パフォーマンスも音楽的な面でも、とても頑張りをみせており、演奏自体は充実しているだけでなく、かなりの完成度を持っていたことが大きな収穫となりました。きっと自分たちに万全の状態が用意されていたら、もっと凄いものを提供できるポテンシャルを持っているProg Metalグループであります。やはり北欧のHard Rock/Metal系グループの層の厚さを痛感しました。ライブの後で談笑する機会もあって、Seventh Wonderの諸君に感謝です。
[公式ウェブサイト: http://www.seventhwonder.nu/]
DIAL:
次の出番は、Pain of Salvationファンには気になるDialが登場しました。当然、僕も今回のHeadway Festivalのラインナップの中で一番楽しみにしていたグループの最右翼の一つでした。現地で聞いた評判では、どちらかというとオルタナ系の音楽だとか、コンテンポラリーなProgサウンドだと様々な話が飛び交っていました。話の順序が逆になりましたが、現在はオランダはユトレヒト在住の元Pain of Salvationのベーシスト: Kristoffer Gildenlow氏を擁するグループということで、早くも会場には独特のムードと期待感がヒシヒシと伝わってきます。しかし、このグループはオランダ地元では既にシアトリカル・プログレ系バンドのCirrha Nivaの活躍で有名な女性シンガー、そして敏腕ベーシストでもあるLiselotte Hegtを擁するということで注目度は高かったと思います。サポートメンバーには、ElegyやAdagio, Patrick Rondatなどでも活動がメタルファンに知られているドラマーのDirk Bruinenbergも居ますし、シンフォ系ロックファンの間では良く知られているMangroveのキーボーディスト: Chris Jonkerも貢献しておりました。地元のバンドだけにサウンドチェックや機材準備などは、遠隔地から来ているグループよりも早かったと思います。面白い場面がございまして、ショーが始まる直前、会場のどこかで誰かが「(そろそろ始まるから)、静かにしとこうぜー。しーずかにー、シィーだよ。」・・・誰かさんBも「うん分かった。シィーだよね。シィー。」・・・しかし、その口にあてて「しぃー」って言う声がやけに大きい(笑)。シィー・シィーとか約2名が囁いていたら、ステージ上でそのやりとりを敏感に発見したKristofferが、「(大人が子供をたしなめるような感じで)。シィ!!!!」と一声かけ、間に上手く入り込んだ時の雰囲気が滑稽で面白いなーと思いました(爆)。同時にこの人は、空気を読むのが驚くほど敏感なんだなーと自分は思いました。
そして、遂に期待が最高潮に膨らんだところで、いったんライトがフェードアウト。観衆側から向かって左側からベースを背中に抱えたKristoffer, 真ん中がLiselotte, 右側にギターリストのRommertとキーボードのChris、後方の城塞のようなドラムキットにはDirkが鎮座という構図です。まずはDialの新譜「Synchronized」よりWoundedでスタート。左隅に設置しているRolandぽいエレクトリックドラムをスムーズに叩き出すKristofferにライトがあてられている状態。どことなくPeter Gabrielの音楽に使われれそうなレイアー状に重ねたようなドラムの音が会場に響き渡ります。その後、青白いライトを浴びながら、Mayonesのベースを構え、指弾きでウォームな音を奏でる。繊細でありながらも、ナイスな音色そしてプレーである。それにしても曲の導入部とは言え、Kristoffer一人のパフォーマンスだけでも凄い存在感だ。次第に他のメンバーが参加、音もドントンと加わっていき、Liselotteが切々と歌い次第に音に厚みが出てくる。この時点では、Liselotteはベース無しのリードボーカルのパフォーマンスに終始している。Liselotteの歌声はどことなく、Tori Amos、Kate Bush,、それから一瞬だけ椎名林檎ぽいトーンに通じるものがありました。全体的には、彼女ならではの独特のコンテンポラリーでクリーンな歌い方であります。いわゆるシンフォニックロック系やゴシックメタル系のような歌い上げる手法とは違いますが、僕は気に入りました。楽器を構えていないときの動きはシアトリカルで、体全体から指先まで使ってのムーブメント。時には髪をゆったりとかきあげて女性的なモーションがあったり、時には祈りをささげるモードがあったり、曲の場面によっては、完全に動きをポーズさせるなど見るものをあきさせないエクスプレッションの持ち主で良いですね。なんていうか男性は当然魅了されるステージの見せ方なんですが、女性が彼女のパフォーマンスを見ても全く嫌味が無いと思います。当然歌を通して、ストーリーテリングや感情の発露みたいなものを上手く表現できるパフォーマーだということです。自分の動きがどう観衆に伝わるのかを勉強している人ではなかろうか?と思いました。
一方のKristofferですが、このグループではマルチ・インストゥルメンタリスト〜パフォーマーとして前面に出ることが多いです。この辺りは、Pain of Salvationを何回も見ている地元の目と耳の肥えたオランダっ子にも新鮮だったのではないかと思います。僕は、Pain of Salvationは見たことが一度もございませんが、Kristofferの色んな側面がたくさん見れるというのはDialが初めてなんではないか?と思いました。お兄さんも凄い人ですが、彼のパフォーマンスが大変素晴らしいということで僕は釘付けになりました。やはり本職のベースパフォーマンスは最高でありました。当然、演奏面ではあらゆる表現方法に長けています(テクニカルな面からリズム的な面にいたる全般において)。あと感銘を受けたのが、とにかくこの人の一つ一つの動きや立ち姿などが、男から見てもRock Musicianの魅力をほぼ全て兼ね備えているかのようで、凄くかっこいいのです。歌を歌う場面も多く、SadnessとHelloは特に最高!。ギターも操る場面もたくさんあり、リードギターやE-Bowを使ってロングトーンや悲しい旋律を奏でるところとか、いやー表現力も唸ります。気になる歌のパフォーマンスは、Daniel Gildenlowに近いものがありますが、彼よりは少しトーンは大人しめですが、このようなメランコリックでエモーショナルな楽曲ではよくあっています。基本的にLiselotteもエモーショナルでサッドネスな表現を前面に出すパフォーマンスで、男性ボーカル・女性ボーカルの違いはありますが、どこか共通点もありました。Helloでは、ちょっとしたLiselotteとKristofferのボーカル・デュエットが楽しめました。
ついついKristofferとLiselotteに言及する場面が多くなってしまいましたが、もう一人の重要人物であるRommertのギターと作曲能力は、あの2人とほぼ対等といえるほど大事であります。どちらかというと、Alex Lifeson的な働きをする人ですが、ギターによるバッキングとNeo-Prog的なリードギターや表現は素晴らしい働きを見せていました。やはりElegyで有名なドラマーのDirkさんのドラムワークが最高!、彼はもうベテランの域に達している人で彼のドラムでの音は迫力がありますし、音の鳴りが非常に良いので流石。キーボーディストのChrisは、ピアノ系の音を中心としながらも時にはパッド系やストリングス風、そしてSadnessの楽曲ではメロトロン風の気持ちいい音を的確な場面でプレーしていました。多分、彼は自分のバンドでは、もっともっと多彩な部分を出している筈です。常にサポートしての役目を着実にこなしていました。確かに楽曲の場面によっては、Pain of Slvationに通じるものもありましたが、アプローチやサウンド全体は異なる場面が多々ありました。Liselotteが歌う場面が多いところは、The Gatheringが好きな人も楽しめる感じでした。全体的には、シンフォニックなオルタナティブロックというかモダンなシンフォ系ロックという印象でした。普段こういうタイプの音楽をあまり聴きませんが、Dialによるライブでのパフォーマンスは大変良好で素晴らしいものでした。テクニカルな演奏にたよらずとも、少ない音数でも表現や歌とサウンドアプローチを工夫すれば、自分みたいな頑固なProg Metalファンもいちころになってしまうということを証明してくれました。いやいや、このグループは凄い・凄い。僕は心底感動、そして楽しみました。Sylvanの新譜やThe Gathering, Anathema, Tori Amos, Peter Gabriel, Porcupine Treeのようなタイプの音楽が好きな人には、ProgRock Recordsから発売されているSynchronizedは楽しめると思います。印象が大変良かったので、後日行われたRocket ScientistsとLana Laneのオープニングアクトとしてのライブにも足を運びましたが、それについてはまたpart 3でお伝えしますね(^^)。ライブの後、Dirk, Liselotte, Kristoffer達にも会見できて、素晴らしい出来事がありました。彼らにはただただ感謝です。Thanks a lot for all members of DIAL!! \
*Dialのセットリスト (順不同):
Wounded,
Sadness,
Green Knees,
Beautiful,
Nature's Coating (新曲か?),
Hello,
Nature's Cruelty,
Wish It Awayなど
[公式blog: http://www.myspace.com/thebanddial]
MORGLBL:
Dialのライブパフォーマンスで半ば放心状態になるほどでしたが、続いて登場のMorglblはChristophe Godinを中心としたフランスのトリオ編成のテクニカル系インスト・ハードフュージョングループです。つい数年前まではZe Morglbl Trioと名乗っていた知る人ぞ知る、技巧派Jazz Rockグループとして一部のハードフュージョン・インストファン、そしてプログレ系のファンの間では、熱狂的に多角評価されているグループだったのです。しかし、彼らは最近復活を遂げ、名前もMorglblと改名。さてステージングですが、・・・な、なんだこれは(@@)!!。超ぶっ飛びの演奏です。恐ろしくも強靭で骨太なサウンドで、序盤は観衆の度肝を抜くスピーディー且つアップテンポ。インタープレーを始め、野太いギターサウンドと超絶技巧が炸裂。Chrstophe Godinスゲー!。これは過大評価に聞こえるかもしれませんが、Ron ThalやMattias IA Eklundに通じるぶっ飛び度です。ギターはVigierを使っているんですね。技巧をたっぷり含んでいますが、やっぱり彼らほどのハイレベルに達すると、シリアスというよりもどことなくユーモア満点の表現やステージングです。見ている観衆は、「なんじゃ、こりゃぁー?」と思い圧倒されつつも、人をおちょくったようなところやパフォーマンスによっては大爆笑がおこっていました。曲が終わった時点でChristofferが、「いやーどうもどうもー(笑)。ところでさー、オランダではThank-Youってなんていうの?」...観衆「ダンキュ・ウェール」....Christoffer「え??、えっとダンキュー・・ヴェール、観衆の皆さん」。序盤から会場はお楽しみムードで僕も笑う場面というか、なんかこの人たちヒョウキンで面白いかもしれない(笑)。Primusのようであったり、濃密な部分はSamla Mammas MannaとSteve Vaiが一緒になったようなというか、昨年のArt Metal Trioをもっとユーモラスでわかりやすくしたような感じです。曲によっては一見ストレートなロックでも、なんというか出てくる音がとにかく凄すぎる。無限のパワーと底なしのアイデアで構成されているような、かっとび疾走サウンド。一方でジャジーでフュージョニーなところや、リズミカルな部分も長けている。「みんなに楽しんでもらいたい的アプローチなんだけど、最高の演奏パフォーマンスを提供しますよ」という暖かいムードが流れていました。おそらくインスト系を主体に聴く観衆や、変わったジャズロック系を好むプログレファン層の人たちには、この夜一番盛り上がっていたような気がします。
[公式ウェブサイト: http://www.christophegodin.com/]
Dinner Break: Boel Guitar presents Dutch G3 (Joop Wolters/Marcel Coenen/Frank Schiphorst) :
(左は、SymmetryのFrank Schiphorst。右はJoop Wolters)
第2部に入る間の夕食タイム以降は、Boelギターのデモンストレーションやインスト、プレゼンテーションなどを中心とした企画ということでHeadway Festivalの常連とも言える3人のギターリストが交代で、自分のソロアルバムなどを中心とした演奏スポットが用意されていました。Headway Festivalでは、毎年恒例でインストプレーヤーによるクリニック・プレゼンテーションタイムが用意されております。今回は5th Editionということで地元オランダの実力派プレーヤーのJoop Wolters (Lalu/Hubi Meiselなど)、Sun CagedのMarcel Coenen、そして元SymmetryのFrank Schiphorstが自分たちの持ち味や代表曲をプレーしていました。一般の観衆だけでなく、第1日・第2日に参加しているミュージシャンやバンドも何人か興味を持ちながら見ていました。既にあの3人のことは、それぞれのバンドなどのレヴューで紹介していますので、特に付け加えることはないのですが、JoopはテイスティーなHard Fusion系のインスト、Marcelはソロでは弾きまくりのかっ飛びハードロックを、Frankは割とオーソドックスでストレートなインストロックをという印象です。3人とも素晴らしいのですが、個人的にはJoop Woltersのパフォーマンスを再び見れたのが楽しかったです。リハーサルの時の話ですが、準備中にも関わらず3人とも「いよー、Headway楽しんでいるかい?」という感じで会話も弾みました。あと、やっぱりMarcelですが、あの人は相変わらずレパートリーが凄い多いというか、遊びでYngwie MalmsteenのFar Beyond The Sunをいともかんたんにスムーズに弾いていました(怪物だ・・)。3人がジャムるところでは、Jeff Beckの曲でトレードソロやアンサンブルを楽しんでいました。やっぱり、3人とも素晴らしいロックギターリストですよ。
LOCH VOSTOK:
元MayadomeのTeddy Moller率いるLoch Vostokが、後半のトップバッターで登場しました。Extreme Metalの影響も上手くブレンドしたProg Metalグループであります。序盤の曲は、いきなりのブラスト・スラッシュ系の高速ビートで、想像していた以上にExtreme Metalタイプを得意としているのかと思いましたが、全体的にはむしろ正統派Prog Metal的な側面が濃いグループだと思いました。パフォーマンス自体は非常にリズム的にカッチリしていて、音楽的なバランスもよくメロディアス派のProg Metalリスナーを含めて確実に楽しめます。セットリストが進行していくごとに、Mayadomeぽい部分も強くて僕は実に楽しむことができました。メロデス・スラッシュ的要素は、スパイスとして取り入れております。エクストリームメタルサイドからの影響下にありつつ、スタンダードなProg Metalの良い部分を前面に出しているところが好感ありといったところです。驚くことにMayadomeでは、ドラムキットに収まっていたTeddyですが、自分のバンドではリードボーカルを取っています。流麗なリードギターもこなすなど中々頑張っていましたね。Mayadomeほどスーパーテクニカルではないものの、適度にコンプレックス且つアップテンポなので、これは想像していなかっただけに大収穫でした。やはりTeddyがリズム的にしっかりとした屋台骨や司令塔の役割を果たしているので、複雑なパートも大変スムーズに進行していました。ギターリフの刻み具合やタイミングもぴったりですし、グルーヴ感もあって大変気持ちいいです。むしろ他のメンバーは、ほとんど前に出ることはなくバッキングに徹している場面が多かったですが、キーボーディストもいました。ある意味、北欧メタルの硬派的な部分を大切にしているグループだと思いました。曲の間で、Teddyが観客に語りかける内容が結構面白いです。Mattias IA Eklundhの時にも思いましたが、北欧系のメタルバンドのMCは大抵こんなにユーモラスなのでしょうか?(笑)。あと観衆が参加してのデス声から高音ファルセット合唱というのもありましたが、僕も地味に参加しました(笑)。ギャグも交えつつ、パフォーマンス自体はかなり安定感と迫力があり、また機会があれば観たいアクトです。うぇばーさんが、お勧めするバンドだけに確かに強烈無比でしたね。
[公式ウェブサイト: http://www.lochvostok.com/]
SLEEPYTIME GORILLA MUSEUM:
ひょっとしたらHeadway Festivalに参加したグループの中でも、最もプログレ度が高かったと思われるアメリカのハードProg集団: Sleepytime Gorilla Museumが、この夜は凄いパフォーマンスを見せてくれました。以前からProg Rock系のフェスティバルやライブなどで話題を呼んでいたエキセントリックなプログレ系グループですが、「ゲゲなんだ、これは?。とにかくスゴイというしかない」という具合でした。実際に観てみるとかなり強烈なんですが、大変素晴らしいライブパフォーマンスだったと思います。普段は、あまりこういうエキセントリックでクレイジーな音を好まない人たちの間でも大絶賛を浴びていました。繰り返して言いますが、僕は心底堪能致しました。プログレをあまり聴かないProg Metalリスナーにも、彼らのパフォーマンスはかなり浸透したようで、苦手に思っていた人は殆ど見受けられませんでしたし、異様な熱気みたいなものが充満するライブでした。
使っている楽器からして風変わりで、ロックバンドのフォーマットに加えて、最初は「バイオリニストとベーシストの使用している、あの木工旋盤?みたいな形をした楽器はなんだろうか・・」・と様子を見たり、後で聞いてみるとどうやらスティールギターぽい台のうえにベース弦のようなものをを張ってあるらしいです。弦はドラム・スティックみたいなもので、摩擦をするかのようにストリング上でスライドさせて音を立てる・・・といった感じです。うーん、想像がつきにくいと思いますが音的には、チェロみたいな音をエレクトリックに増大させているのでチェンバー風というかドヨーンとしたダークな音でした。音的にはとにかくテンションが高く、ある意味ハードコアとパワーメタルをプログレ風にドッキングさせた音圧のある音だけどメタルメタルしていないといか、とにかくクレイジーでケイオティック、だけどロックリスナーやメタル系リスナーにとっては決して不快な音ではなく、むしろ斬新というかカタルシスが爆発したような面白い音です。女性ミュージシャンのCarla Kihlstedtは、かなり大活躍をしておりまして、自分の場合この人にずっと釘付けになっていました。小柄な人ですが、コーラスも入れつつ、中盤以降はずっとヴァイオリンを凄まじい勢いとテクニックで弾きまくりで素晴らしかったです。Daryl WayとJerry Goodmanに通じるサウンドスタイルやパフォーマンスだと思いましたが、おそらく彼女は自分のスタイルを別ルートから確立したのだという印象です。
バイオリンを効果的に使った楽曲は、特にプログレ的な濃密なものが多くて次第にダイナミック且つ興奮度が高まります。またKing CrimsonやGuapo, ZAO, そして日本のBondage Fruitなどのような強烈さがあったと思います。なるほど、ファンを中心にライブアクトとして人気のあるプログレ集団というのが、本当によく分かりましたよ。また服装やメイクアップも全員不思議で、なにかの民族衣装からインスパイアを受けたのだと思います。それからMagmaのように、どこか架空の世界から来たようなミュージシャン集団というコンセプトを持っているようで、MCだけを聞くとちょっと危ない系の人たち?と心配になりそうでしたが(^^;)・・・ステージ後は常人で親切に観衆とやりとりをしていたので、あくまでもそういう設定なのでしょう。ステージ上では、超エクセントリックでなにかに取り付かれたような豪快なライブパフォーマンスです。一見、整合感がないように聞こえる楽曲も、実は緻密に計算されたハイパーサウンドだということが分かります。題名は分かりませんが、ラストに演奏された楽曲のパワーは恐るべきレベルに達しており、最後のクライマックスでは音の塊と奇抜な男性と女性コーラスが交錯しパーカッションとドラムが混合しあい急上昇していくかのようなパフォーマンスは、衝撃でした。普段あまり聞かないタイプの音楽ですが、最高に楽しみました。プログレ系のリスナーやチェンバー系ロックが好きな人たちには、かなりヤバイのではないでしょうか。間違いなくダークホース大賞は、彼らだったはずです。
[公式ウェブサイト: http://www.sleepytimegorillamuseum.com/]
REDEMPTION:
今年のHeadway Festivalは、最終的にはかなりバラエティに富んだものになっていますが、遂に第2日目のトリを飾るヘッドライナーRedemptionがバッチリとフェスティバル最後を素晴らしいものにしてくれました。ProgPower USAを始め、既にアメリカを中心にライブギグをこなしながら実力を急速に伸ばしています。新譜「The Origins of Ruin」をInsideOutからリリースしたばかりですが、当然新譜を主体にしたセットリストを組んでいます。友人の家で予習をさせてもらったお陰で、新譜も前作と同様素晴らしいものであるという確信は持っていました。リズムセクションのうちベーシストがSean Andrewsに交代しているものの、さらにパワーアップしたかのような印象でライブパフォーマンスは大変充実しておりました。サポート・キーボーディストも新しい人物になっていましたが、この人もハイレベルなKeyboardワークスでありました。2nd Albumで作曲的に大ブレイクを果たした感が強い彼らですが、ライブでも非常にスーパーテクニカル且つメロドラマティックなパフォーマンスが印象に残るものでした。当初はNick van Dykeのプロジェクトということでスタートしたそうですが、既にライブアクトとしても確立した存在となりつつあります。どのミュージシャンにも見せ場が与えられていたと思います。
リードボーカリストはFates WarningのRay Alderでありますし、彼にとっては本家と同様に重要なグループと言ってもおかしくない程、素晴らしいグループだと思います。そういえば、Ray Alderは遂に美しいロングヘアを思い切りバッサリと散発して、スポーティーなショートカット・ヘアになっていました。どのミュージシャンも演奏技術は確かなものと、ハイレベルなパフォーマンス力を持っており、ソロやリズムパートに至るまで、技巧的なProg Metalファンには大変楽しめるものでありましたね。アメリカ西海岸の実力者達を結集したかのようで、これは以前見たPrymaryに匹敵するような濃密でハイテンションなパフォーマンスで大変グレイトなものでありました。ショー全体の流れは怒涛の勢いとテンションをキープしておりまして、もうベテランの域に達しているいう印象で驚くばかりです。2000年に母体を結成し、こんな短期間のうちにバンドとして強力なステータスを築き上げることに成功した中心人物のNick van Dykeという男は、まだまだ過小評価されているのではないでしょうか。僕自身もそうですが、1stアルバムをレヴューしていた頃には、その片鱗すらも見過ごしていたと思います。このRedemptionという集合体は、比較的メタルシーンでは新しい意欲的なミュージシャンとベテランのRay Alderやスタッフの両面から作り上げたグループとして上手く機能しているのが、大変興味深いと思わされますね。
終始一貫して、ほぼパーフェクトと言いたくなる演奏でした。パフォーマンス全体が、研ぎ澄まされていたと思います。音自体大変クリーンで流れも非常にスムーズに展開されていました。ヘッドライナーだけにライティングや音のバランスもすこぶる良くて感無量でした。確かに新作からの楽曲が多かったですが、1stアルバムからはNocturnalが印象的でした。それから2ndアルバムは大好きな楽曲が満載でSapphireは特に光っていましたし、自分はノリノリになりました。今年は既にDream Theaterのアメリカン・ツアーのオープニングアクトとして決定しており、さらにスターダムに進出することが期待されています。これでHeadway Festivalの公演内容は全て終了しましたが、Redemptionは集まっていた観衆の前で大変グレードの高いドラマティックでパワフルなProg Metalを提供してくれたと思います。使い古された表現ですが、彼らの新譜がリリースされることが決定したことですし、チャンスがあれば彼らを日本に呼ぶべきだと思います。もしもまだ彼らの音楽を聴いていないProg Metalのリスナーがいましたら、Redemptionの新譜と2ndアルバムのThe Fullness of Timeは超お薦めです。スタイル的にもDream Theater, Liquid Tension Experiment, Symphony X, Andromeda, Prymary, Fates Warningが好きなリスナーには、きっとどこかピンと来るものがある筈です。
[公式ウェブサイト: http://www.redemptionweb.com/]
・・・ここまで長いライブ・レポートにお付き合いくださり、まことにありがとうございました(NHKの松平アナウンサー風)。続きましては、Headway Festival番外編ということでRocket Scientistsのライブギグの模様を中心としたレポートをpart 3で用意しておりますので、後ほどアップ予定です。どうぞ、ご期待下さい。
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